レチノールとは?

レチノールは「若々しく、フレッシュで、ハリ感のある肌になりたい」「シワを減らしたい」「シミを薄くしたい」「とにかくツヤ(グロウ)が欲しい」という人にとって、欠かせない成分であることに疑いの余地はありません。ですが同時に、「どうやって効いているの?」「どんな悩みに一番向いているの?」など、疑問も山ほどあるはずです。ここでは、メリットとデメリットから、シワ・ニキビまでをしっかり押さえた、トレチノイン、トレチノインクリーム、レチノイン酸、そして各種レチノールのプロフェッショナルガイドをお届けします(ブックマーク必須の保存版です)。

 

まずは、トレチノイン(レチノイン酸)の歴史を振り返ってみましょう

レチノール自体は古代エジプトの時代から存在していたと言われていますが、皮膚科領域や外用スキンケア成分としての本格的な歴史が始まったのは、20世紀半ば以降です。1943年、ある皮膚科研究でニキビ(尋常性ざ瘡)の治療にレチノイドが使用されました。トレチノインは1957年に特許を取得し、1962年に皮膚科での使用が承認されます。その後1968年までの広範な研究により、レチノイン酸が有効な抗ニキビ治療であることが証明され、Johnson & Johnson がトレチノインをニキビ治療薬として臨床試験するきっかけとなりました。トレチノインクリームは、最初は Retin-A® というブランド名で販売されました。もともとはニキビ改善を目的として処方されていましたが、Retin-A® を使用していた患者から「ニキビが良くなっただけでなく、肌全体がなめらかになり、若々しく見えるようになった」という報告が相次ぎました。こうした声を受けて、トレチノインは徐々に“アンチエイジング治療”としても知られるようになっていきます。

 

トレチノイン、レチノイン酸、レチノイド、レチナール、レチノール——何が違うの?

トレチノインとレチノイン酸は、名前が違うだけで同じ成分です。トレチノインはビタミンA誘導体の中で最も強力な形であり、その分パワフルなため、医師や皮膚科医による処方が必要な「医薬品」としてのみ入手できます。一方、レチナール(retinal)やレチノール(retinol)も同じビタミンA誘導体ですが、市販の美容液やクリームとして処方箋なしで購入できます。レチナールやレチノールもシワやニキビのケアに有効ですが、トレチノインほど即効性はありません。理由はシンプルで、レチナールやレチノールは肌の中でレチノイン酸へ変換されて初めて本来の効果を発揮するのに対し、トレチノインは最初からレチノイン酸そのものなので、変換プロセスによるタイムラグやパワーダウンがないからです。この「スピード」と「強さ」の違いが、トレチノインが処方薬として扱われる理由であり、一方でレチナールやレチノールが一般の化粧品として購入できる理由でもあります。最後に、「レチノイド(retinoids)」という言葉は、ビタミンA由来成分全般をまとめて指す“ファミリー名”です。

 

トレチノインのメリットとデメリット

Retin-A® は、若々しい印象の肌を叶える成分として大きな支持を集めてきましたが、その一方で「負担ゼロ」というわけにはいきません。報告されている副作用には、赤み、かゆみ、乾燥、ヒリつきなどが含まれます。さらに強いケースでは、肌が一時的に黒ずんだり、逆に白っぽくなったりすることもあります。時代とともにスキンケア技術が進化し、こういった反応の強さを和らげる処方が増え、また医療従事者は保湿や保護をしっかり行えるスキンケアルーティンを組み合わせて処方するようになりました。医師や皮膚科医は、こうした副作用を事前に防いだり、出てしまった場合にコントロールしたりするうえで欠かせない存在です。また、多くの場合、肌がトレチノインの強さに適応してくるとともに、症状は徐々に落ち着いていきます。刺激や耐性が心配な場合は、まず低濃度のトレチノインクリームからスタートし、潜在的な副作用を軽減することが可能です。たとえば、処方専用の VI Derm Retinoic Serum(0.1%トレチノイン配合) などです。

 

トレチノインはどうやって効くの?

トレチノインは、肌本来の「細胞の生まれ変わり(ターンオーバー)」のスピードを上げることで働きます。ターンオーバーとは、肌が自分で行う“自然な角質ケア”のようなものだと考えてください。古い細胞は表面から自然に剥がれ落ち、その下から、より新しく、ふっくらとして、フレッシュな細胞が押し上げられてきます。

10代~20代前半の肌は、この生まれ変わりのサイクルがとても速い状態です。しかし、年齢を重ねるにつれてこのサイクルは徐々にスローダウンし、シワ、くすみ、色ムラ(シミ・色素沈着)といった、さまざまなエイジングサインとして現れてきます。トレチノインは、このターンオーバーを若い頃のようなスピードに近づけることで、肌をなめらかにし、シワを目立たなくし、トーンを均一に整えるのに役立ちます。

 

レチノイン酸はどうやってシミを薄くするの?

いわゆる「シミ(色素沈着/hyperpigmentation)」は、もっとも手強いエイジングサインのひとつであり、シワと同じくらい「老け見え」に影響する要素です。トレチノインクリームは、細胞の生まれ変わりを促し、表面の角質(表皮細胞)の剥がれ落ちを助けます。暗くくすんだり、色ムラを起こしている表面の細胞がオフされることで、目に見える色素沈着が薄まり、肌全体のトーンがなめらかに整って見えるようになります。また、レチノイン酸はメラニンの産生量を減らすサポートも期待でき、とくに、長年の紫外線ダメージへの反応として「過剰なメラニン生成」が起きているタイプのシミに対して有用です。

処方専用の VI Derm Retinoic Serum(0.1%トレチノイン配合) は、頑固なシミに悩む方にとって非常に心強い治療オプションです。処方グレードの 0.1%トレチノイン(純粋なレチノイン酸)に加え、実績のあるブライトニング成分であるビタミンCを配合し、シミを拡散・薄く見せるのを助けます。さらに、ビタミンEが肌を保湿・保護し、赤みや刺激感をやわらげます。より一層のブライトニングを目指すなら、レチノイン酸セラムに加えて、処方専用の Skin Lightening Complex 4%ハイドロキノン を組み合わせることもできます。この製品にはコウジ酸や甘草根エキスも含まれており、劇的かつスピーディーなブライトニング効果が期待できます。パラベンフリーの Retinoic Serum は、皮膚科レベルの結果をもたらしながらも、質感がなめらかで、さまざまなスキンケアルーティンに無理なく組み込める心地よさを両立しています。

適切な SPF(紫外線対策)と併用し、継続的に使い続けた場合、トレチノインのビフォーアフター写真では、およそ3〜4か月でシミが徐々に薄くなり始める様子が確認できます。

 

トレチノインはどうやってニキビとニキビ跡をケアするの?

トレチノインは、黒ニキビ(ブラックヘッド)や白ニキビ(ホワイトヘッド)を減らすことが証明されており、赤く腫れて痛みを伴う炎症性ニキビの改善にも有効だとされています。トレチノインは、ニキビの大きな原因となる要素——毛穴を詰まらせる古い角質、アクネ菌などの細菌、そして過剰な皮脂分泌——に多角的にアプローチします。細胞の更新を促すことで、古い角質が溜まる前にスムーズに排出されるようサポートし、毛穴詰まりを防ぎます。また、トレチノインは過剰な皮脂分泌をコントロールするのにも役立ちます(皮脂はしばしば“接着剤”のように働き、古い角質を肌表面に貼り付けて、毛穴つまりを悪化させます)。ターンオーバーのスピードが上がることで毛穴が開きやすくなり、ニキビの引き金となる悪玉菌が排出されやすくなります。

同じ細胞更新プロセスにより、ニキビ跡(とくに凹凸のあるタイプ)の見た目をやわらげることもできます。新しくふっくらとした細胞が表面に押し上げられることで、ニキビ跡が浅く、なめらかに見えやすくなります。トレチノインのビフォーアフターでは、使い続けることで、比較的深いニキビ跡でも長期的に目立ちにくく保てるケースが多く報告されています。

とはいえ、トレチノインクリームによるニキビ&ニキビ跡ケアは、乾燥や刺激が出やすい分、「さじ加減」が重要です。スキンケアの専門家と一緒に、乾燥などの副作用を最小限に抑えながらニキビ改善を目指せるスキンケアプログラムを組むのがおすすめです。また、ビタミンEのような保湿成分を一緒に配合したトレチノイン製品を選ぶのもひとつの方法です。たとえば、VI Derm Retinoic Serum のような処方です。

 

トレチノインはどうやってシワを目立たなくする?

トレチノインの働きは、表面の細胞入れ替えを早めるだけにとどまりません。コラーゲン生成を高めるサポートもしてくれます。そしてこのコラーゲンこそが、なめらかで、ハリがあり、引き締まった肌に欠かせない要素です。コラーゲン産生が促進されることで、トレチノインは「シワの予防ケア」としても働きます。なぜなら、コラーゲンの減少はシワ形成の主要な原因の一つだからです。さらに、トレチノインのターンオーバー促進作用により、シワを強調して見せるくすんだ古い角質がオフされることで、見た目のシワがやわらいで見えます。こうした複合的な働きにより、トレチノインは非常に優れた「トータルアンチエイジング成分」と言えます。トレチノインのビフォーアフター写真では、およそ3〜4週間ほどでシワの見た目に変化が出始めるケースも多く報告されています。

 

トレチノインクリームをスキンケアルーティンに取り入れるベストな方法は?

トレチノインを新しく取り入れるときの鉄則は、「低濃度から、ゆっくり(go low, go slow)」です。つまり、まずは低用量からスタートし、レチノイン酸を少しずつ夜のスキンケアに組み込んでいくこと。たとえば、最初は一晩おき、あるいは週2回程度の使用から始め、肌の慣れ具合を見ながら頻度を調整していきます。中には、まず 0.05% のトレチノインクリームから始め、その後 0.1% のトレチノインクリーム(たとえば VI Derm Retinoic Serum)へステップアップするほうが合っている方もいます。0.1% のトレチノインクリームから始めたい場合は、まず顔全体に隔日で塗布し、およそ1か月ほどかけて肌が慣れるのを待ちます。その後、首にも週2〜3回のペースで少しずつ広げていくのが目安です。

トレチノインクリームを使い始めたときに出やすい、刺激感・赤み・かゆみなどを和らげる方法もいくつかあります。たとえば、夜はトレチノインクリーム(VI Derm Retinoic Serum など)を塗り、その後にリカバリーバーム(VI Derm Post-Treatment Repair Cream など)を重ねる方法です。または、夜はトレチノイン、朝は VI Derm Post-Treatment Repair Cream を使い、鎮静・修復・バリアサポートを重点的に行う方法もあります。VI Derm Post-Treatment Repair Cream は、赤みや刺激を瞬時に和らげることで肌の回復を最適化するよう設計されており、トレチノインの潜在的な副作用を“中和”するのにも非常に優れています。また、経皮水分の蒸散を防ぎ、トレチノイン使用時に起こりがちな乾燥(それに伴うかゆみや刺激)を予防するのにも役立ちます。必ず、ご自身の肌状態に合った使い方や濃度については皮膚科医に相談し、無理のないスケジュールで取り入れるようにしましょう。

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26969582/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2699641/

https://money.cnn.com/magazines/moneymag/moneymag_archive/1989/04/01/85047/index.htm

https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/tretinoin-topical-route/side-effects/drg-20066521